西林 正志

◎孤高のソロテント

◆メインアイテム
ラゴ1アイボリー

スノーピーク全幕体の中で、圧倒的に小さく特異な設営方法のラゴ1。
スノーピークがスノーピークの理念を諦めずに、その小さな空間に快適さを詰め込んだ、正にミニマルな逸品。2025年からカタログ落ちしてしまい、個人的に残念でなりません。

まずは追求された快適さのポイントをご紹介したいと思います。

①外見的に小さなワンポールテントに見えますが違います。使用するのは写真10枚目の謎すぎる形状のしなやかなフレーム。弓のように湾曲したフレームの張力を利用して、矢を引くように幕を建ち上げて設営していきます。ワンポールテントは、そのポールが居住空間にモロに干渉して快適さを損ねてしまいますが、ラゴ1なら空間を最大限に利用できます。

②横から見てみましょう。素直な二等辺三角形ではなく、ひねくれた変な三角形をしています。これはテントの中で寝ている体勢からムクっと起き上がった時、1番高さのある頭の部分がちょうど三角形の頂点になるように設計されています。自分は極端に脚が短いので、若干後ろにズリっと身体をずらさないといけないですが、普通の人なら大体ちょうど頭の位置に来るはず。これによって天井に頭が当たることがありません。

③元々は登山用のテントとして設計されています。そこは平地よりも強風が吹き荒れる過酷な環境。その流線型のボブスレーのようなフォルムにより、風を切り裂いて中の人を守ってくれます。

④山岳テントには珍しいダブルウォールの構造。山岳での使用に限らず、特に冬場のキャンプでは必ず発生する結露。その結露に触れたり、落ちた水滴で身体や衣服、寝袋や道具を濡らすほど、キャンプにおいて不快な瞬間はありません。ラゴ1はその小ささにも関わらず、ダブルウォール構造を採用しており、それを防いでくれます。


以上の理由から、このテントを使って狭いと感じたことは一度もありません。風や結露に不快さを感じたこともありません。

その床面の形状と、人1人がすっぽり入る大きさから、よく【棺桶】と揶揄されるラゴ1。
寝るスペースしかないやん!とか言われますが、そんなことはありません。脇に荷物は置けるし、靴を置ける前室もある。インナーに座りながら、前室での調理もできる。

言葉を返せば、寝るスペースさえあれば充分。キャンプの醍醐味ってやっぱり【外で寝る】っていう最も非日常的な行為だと思うんです。
その部分の快適さを限られたスペースの中で追求して生まれた幕。

何よりこの幕で寝る時の優越感は半端じゃないです。丘の上で遠吠えする純白のニホンオオカミになった気分です。

【孤高のソロテント】と言う他ありません。


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